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4 地域医療部・総合診療部等の在り方に関する課題
都道府県立病院等に設置されている地域医療部・総合診療部等の運営に携わる自治医科大学卒業医師の参加を得て開催した県立病院地域医療部等連絡会で、地域医療部・総合診療部等の在り方に関する課題として指摘されたのは、?@病院内の理解、位置付けと他の診療科との役割分担、?A定数確保、?Bマンパワー(総合医)の確保、?C地域医療部等の機能の確立である。
それぞれに発足間もない地域医療部・総合診療部等は、その機能、役割等について試行錯誤の段階にあり、一定の方向性を持っているものではない。へき地等の医療に従事する医師に対する診療支援、研修の機会の確保、子弟の教育等、医師としてのライフサイクルに配慮しつつ、へき地等の医療の安定的確保と質的向上を図るため、へき地等の医療を支援するシステムとして地域医療部・総合診療部等が設置されてきているが、診療所勤務医や開業医が担ってきた、いわゆる総合医、一般医、家庭医あるいはかかりつけ医といった機能は、明確な制度として確立したものではなく、総合医や総合診療、総合医学に対する認識は未だ十分ではない。このような背景の中で、へき地等の医療支援を主たる目的とする地域医療部・総合診療部等は、病院内の理解が得にくい状況にあり、院内業務との協調が難しく、他の診療科との連携も不十分であることは否めない。
定数についても、定数削減の方向にある現在、必ずしも十分配慮されているとは言い難い状況にある。へき地等の医療を支援するという政策的な面での定数措置と、病院内の1診療科としての機能(病院業務としての役割分担)を確立することによる病院定数措置が必要である。また、いずれの部門でもマンパワーの確保が課題となっているが、設置目的及び機能の明確化、所属医師の将来展望等が明らかになり、行政や病院関係者の理解が進めば、将来的な人材育成、マンパワーの確保も可能となると考えられる。
このほか、へき地等の医療を支援するための医師派遣に当たっては、一部に派遣先の市町村との間に派遣協定等を締結していない部門も散見されるが、公務災害、医療事故さらには療養担当規則、レセプト請求等に対応するため派遣協定等を締結するとともに、保険医登録についても十分配慮していく必要があろう。

 

まとめ

 

1 地域医療部・総合診療部等の機能
現在実施している域医療部・総合診療部等の業務(機能)は、次のとおり集約することができる。
(1)医師供給機能
?@医師派遣調整
?A代診医派遣
?B診療支援
?C巡回診療
?D出張診療
(2)医師派遣以外の診療支援機能

 

 

 

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